からだコラム

歩くフォームを考えてはいけない理由(わけ)

仕事がら
「足のどこから着地するんですか?」
「歩く時、膝は伸ばしたほうが良いんですか?」
などの質問をよくいただきます。
結論からいうと、歩く動作を頭で考えてコントロールしないほうが良いのです

なぜなら、「歩く」という動作は、ほぼ無意識の領域で行われるものだからです。もちろん随意的に歩き始めたり停止したりできますが、いったん歩き始めると、特に意識せずとも自動的に歩き続けることができます。
コントロールが可能な部分はほんの一部で、残りは無意識の動作と言われています。(また、意識と無意識は完全に区別することもできない)

「歩行」を構成する要素は膨大です。地面の形状、その人の骨格、筋力、関節の可動域、重心位置、そしてイメージ(*)などなど。
そして最終的に、歩行パターンを作り出すのは中枢神経系の役目です。

*・・・イメージ(この場合、心の中に思い描く形象のこと)は、なかなか厄介な存在で、良い方にも悪い方にも働きます。
知らぬ間に親の歩く姿に似ていることもあれば、憧れのモデルやスポーツ選手の歩き方を真似て“似せて”歩くことも、ある程度までは可能です。テレビで観たウォーキング方法に従って歩こうとする人も多いかもしれません。

複雑な要素が絡んで、世界に一つしかない「その人の歩行」が出来上がるというわけです。
それを意識で作ろうとするとどうなるか?
正しいフォームで歩こう、と思ったとたんに私達の身体は硬くなってしまうのです。脊柱や股関節周辺に過剰な力みが発生します。オートメーションで行なわれるはずの身体の反応が抑え込まれてしまい、運動のリズムは乱れ、効率の悪い動きになってしまうのです。言いかえれば、不要な疲労を招き、身体を傷める可能性が高くなります。

さきほど「イメージ」が厄介な存在であると書きました。
世間でまだまだ信じ込みの多い、
「ひざを伸ばしてかかとから着地する」
「つま先で地面を蹴る」
「歩幅を大きく」
「胸を張って」
といったフォーム理論も日本人の歩行をダメにしている大きな要因ではないかと思っています。ある人にとっては有効な意識でも、ある人にとってはマイナスに働いてしまうからです。

上のような図、「あるある」ですよね。最近よく売れている本でさえ当たり前のように目にします。
絶対に間違いとは言いませんが、実際にこのような不自然な動作を続けていくと膝や腰に大きな負担がかかるはずです。そもそも、この絵通りの動きを忠実に再現したらロボットのようでまったく美しくはないでしょう…。

ここは是非、今まで見聞きした正しい歩き方理論を思い切って手放してみませんか!
私達が行うMBTのエクササイズでは、歩き方(フォーム)の指導はしません。
イメージをお伝えすることはありますが、それはあくまでその人の今の状態に必要な表現を選んでいます。
「イントロセッション」では、身体の動きを最大に引き出す「立ち姿勢」をつくることからスタートします。次に足裏の正しいポイントで地面を押す(踏む)練習をしていきます。地面から返ってくる力を利用すれば、重力に逆らって無理なく直立を続けることができるのです。歩行姿勢や足運びは変えようと思わなくても勝手にどんどん変わっていきます
ちなみに、歩く以前に靴の履き方も超重要。履き方がいい加減だと、身体の動きは一向によくなりません。これについては長くなるのでまた別途。

人間本来の歩行とは「考えることなく歩く(=walking without thinking)」であって、その質を高めるための身体づくりを私は目指しています。

 

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