外反母趾について考える

外反母趾はもっともメジャーな足部のトラブルです。
一説には日本人の成人のうち約3割に外反母趾があると言われています。この数字の出どころを探しているのですが、見つかりません。私の体験上でもだいたいそんなものかなぁ、という感覚です。
私達は医師ではないので外反母趾の治療はできません。シューズ選びや身体の使い方を見直すことで、少しでも本来の足に近づけていくことはできると思っています。

外反母趾とは

ざっくり言うと、足の母趾の付け根が「くの字」に曲がっている状態が外反母趾です。医学的に説明される場合は、下のようになります。

外反母趾とは母趾中足趾節関節(MTP関節)で母趾が外反した変形。
また外反母趾は母趾のみの変形ではなく、最近では足部全体の変形として考えられるようになってきた。外反母趾の特徴を上げると以下のように考えられている。

①第一中足骨の内反
②母趾MTP関節部の突出(bunion)
③母趾の基節骨の外転、回内変形
④開張足

下記資料を参考にして一部抜粋しました。
(参考:日本整形外科学会監修「外反母趾診療ガイドライン2014」,南江堂)

※用語について※ 中足趾節関節=MP関節は、手足を区別する時、手指がMCP関節、足趾がMTP関節と呼ばれます。

どの程度のレベルが外反母趾とみなされるか

外反母趾角(HV角)20°以上を外反母趾と定義する場合が多いようです。上で参考にしたガイドラインでもそうなっていました。
本来は母趾の中足骨と基節骨はまっすぐに配列されているはずなので、HV角10-15°程度でも外反母趾であることには変わりありません。疾患とみなされなくても、「外反母趾になりかけている」「軽い外反母趾である」と考えて対策をしていくと良いと思います。
また、これはあまり認知されていませんが、MTP関節ではなくIP関節で発生している外反母趾もよく見ます。

外反母趾の原因

外反母趾になる要因としてさまざまなことが考えられます。(それぞれ要因になり得る、というだけであって関係ないとする説もある)

【内的要因】
・遺伝
・性差(女性のほうがなりやすい)
・解剖学的要因
第一中足骨の内反、TMT関節の不安定性、足趾の長さ、全身性関節弛緩などがいわれています。扁平足・開張足と関係あるとする論文も多く発表されています。

【外的要因】
・加齢
・履き物
・スポーツ
など。

上記の要因が複合的に絡んでいるケースがほとんどだと思われます。
たとえば「ハイヒール」を履いても外反母趾になる人とならない人がいるように、プラスいくつかの要因があって外反母趾になるはずです。
体質的に関節が柔らかい人がなりやすいというのは、確かにあると思います。つまり、遺伝というのは外反母趾が遺伝するわけではなく、関節が柔らかい体質が遺伝することだと考えています。

加齢と外反母趾の関係

中高年になると若いころと比べて筋肉や腱の柔軟性がなくなってきて、筋力も落ち、足部のアライメント(骨の配列)が崩れることから、外反母趾が目立ちはじめます。同時に、胸が丸まる、骨盤が後傾するなど全身の姿勢が悪くなることで、趾できちんと地面を踏めなくなっているケースが多いです。
足のサイズが大きくなってきた、足の甲(幅)が広がってきた、土踏まずが下がってきた、など変化を感じたら早めにトレーニングをして食い止めることが大事です。
足エクササイズ例として、母趾の上げ下げを以前に動画で紹介しました。(YouTubeで観る ※音声あり)
その前に全身の姿勢や歩行動作の見直しと改善が必要ですが、長くなるのがここでは割愛します。

履き物と外反母趾の関係

趾を押さえつけるような先のとがった靴、
高いヒールのついた靴、
靴の中で足が滑る(ずれる)靴、
紐をきちんと締めずに靴を履くこと、
どれも外反母趾の原因になり得ます。
フラットかつブカブカの長靴で仕事をし続けて外反母趾になる人もいます。足と靴を固定する箇所がないことが、いかに悪いことかわかりますね。

スポーツと外反母趾の関係

ストップ動作、踏ん張り動作の多いスポーツでは特に外反母趾になりやすいようです。
サッカー、バスケットボールなどが代表でしょうか。
ストップや踏ん張りがいけないのではなく、よくないフォームで行ったり、微妙に動作を間違えて行ったりした結果と考えるほうが妥当です。
マラソン選手などにも多いそうです。つまり、どんなスポーツでも特定の動きを繰り返しているうちに外反母趾が進んでいくことはあります。

日常生活でできる対策

・趾が自由になる靴を履くこと。
・かかとの高い履き物も出来るだけ避ける。
靴紐をきちんと締めること。外反母趾傾向の人にはスリッポン、足首~甲にかけての中足部が固定できないルーズな履き物はおすすめしません。←最重要
・足部のアーチ構造を助ける靴下を履く。
 例:CSソックスOFR-01ソックス
・歩く時や運動する時にCorrect Toes(コレウトゥ)のようなスペーサーを使用するのも良い。
・エクササイズを行て、足の苦手な動きを克服していく。

いろいろできることはあります。
外反母趾の痛みが気になって病院へ行ったけど、手術以外の手段を提案してもらえないという話はよく聞きます。高額なインソールを勧められるのはまだ良いほうかも。
加齢だから…と諦めたりせず、当店までご相談ください。完全に治るとは言えませんが改善していく方が少なくありません。
外反母趾でも快適に履ける靴を多数取り揃えています。根本的な解決策としては、失われた足の機能を取り戻していくことが必要です。そういった観点で靴を選んでいます。
もちろん有効なエクササイズもしっかりとお伝えします。

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