歩くフォームを考えてはいけない理由(わけ)
※2018年1月22日に公開した記事ですが、加筆・修正して2026年9月22日に再度公開しました
仕事がら
「足のどこから着地するんですか?」
「歩く時、膝は伸ばしたほうが良いんですか?」
などの質問をよくいただきます。
結論からいうと、歩く動作を頭で考えてコントロールしないほうが良いのです。
なぜなら、「歩く」という動作は、ほぼ無意識の領域で行われるものだからです。もちろん随意的に歩き始めたり停止したりできますが、いったん歩き始めると、特に意識せずとも自動的に歩き続けることができます。
コントロールが可能な部分はほんの一部で、残りは無意識の動作と言われています。(また、意識と無意識は完全に区別することもできない)
「歩行」を構成する要素は膨大です。地面の形状、その人の骨格、筋力、関節の可動域、重心位置、そしてイメージ(*)などなど。
そして最終的に、歩行パターンを作り出すのは中枢神経系の役目です。
*・・・イメージ(この場合、心の中に思い描く形象のこと)は、なかなか厄介な存在で、良い方にも悪い方にも働きます。
知らぬ間に親の歩く姿に似ていることもあれば、憧れのモデルやスポーツ選手の歩き方を真似て“似せて”歩くことも、ある程度までは可能です。テレビで観たウォーキング方法に従って歩こうとする人も多いかもしれません。
複雑な要素が絡んで、世界に一つしかない「その人の歩行」が出来上がります。
それを意識で作ろうとするとどうなるか?
正しいフォームで歩こう、と思ったとたんに私達の身体は硬くなってしまうのです。脊柱や股関節周辺に過剰な力み(緊張)が発生します。オートメーションで行なわれるはずの身体の反応が抑え込まれてしまい、運動のリズムは乱れ、効率の悪い動きになってしまうのです。言いかえれば、不要な疲労を招き、身体を傷める可能性が高くなります。
さきほど「イメージ」が厄介な存在であると書きました。
世間でまだまだ信じ込みの多い、
「ひざを伸ばしてかかとから着地する」
「つま先で地面を蹴る」
「歩幅を大きく」
「胸を張って」
といったフォーム理論も日本人の歩行をダメにしている大きな要因ではないかと思っています。ある人にとっては有効な意識でも、ある人にとってはマイナスに働いてしまうからです。

上のような図、「あるある」ですよね。よく売れている本や雑誌でも当たり前のように目にします。
絶対に間違いとは言いませんが、実際にこのような不自然な動作を続けていくと膝や腰に大きな負担がかかるはずです。そもそも、この絵通りの動きを忠実に再現したらロボットのようでまったく美しくはないでしょう…。
ここは是非、今まで見聞きした正しい歩き方理論を思い切って手放してみませんか!
当店でおこなっているトレーニングでは、フォームの指導はしません。
腕の振り方などをお伝えすることはありますが、それはあくまでその人の今の状態に必要な表現を選んでいます。
フォームの指導ではなく、歩き方をよくするための感覚を入れていくのです。
たとえば、歩く時に骨盤が後傾して、背中が丸くなりがちな人がいたとします。骨盤が前傾させる感覚がよくわからない(忘れている)かもしれないので、骨盤の前傾を引き出すドリルで、骨盤前傾の感覚を入力していきます。その後何も考えずに歩いてもらうと、骨盤が立ち、背中が伸びている。こんな流れが理想です。
人間本来の歩行とは「考えることなく歩く(=walking without thinking)」であって、その質を高めるための身体づくりを私は目指しています。


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