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フラーに学ぶ その2 より少ないもので、より多くのことをなす

前回からの続き。

フラー博士は1895年に生まれ1983年に87才で亡くなりましたが、まさに21世紀の世界を予言するかのような、様々な提言をしているのです。

・人間は、専門家としての役割はコンピューターにとって変わられる。人間は生来の「包括的な能力」を活用し、楽しむよう求められる。また、工業化にともない、出生率は次第に低くなっていくだろう。
・地球を「宇宙船地球号」と例え、地球上の資源・エネルギーは十分すぎるほどあると主張。戦争や金儲けに力を注ぐのではなく、エネルギーがうまく行き渡る仕組みをつくり、持続可能な社会を築く方法を考えるべき。
・冷戦下の1970年代に、地球上の再生可能エネルギー源を送電網でつなぐことで、世界の安全保障を改善することができると提案(今で言うスーパーグリッド構想)。

などなど。
書き始めれば終わりがなくなるので、興味がある方は本を読んでみてください。


本題はここから。
地球について語られたことが、人間の身体にもぴたりとあてはまると思うのです。
中でも名言だと思うものを2つ紹介します。

より少ないもので、より多くのことをなす

建物であれば、より少ない面積・資材で作り、交通であれば、より少ないエネルギーで移動することを指しています。
人の身体が健康を保つためにも、まったく同じことが言えます。無駄な栄養や化学物質を取り込みすぎると。非常に効率(代謝)の悪い身体になってしまいます。
一方で、崩れたバランスを取り戻そうとする時は、ほんのわずかな刺激で、大きな効果を得ることもできるのです。前回紹介したfasciaの話もまさにそれ。例えば、皮膚表面に触れるか触れないかのタッチで刺激を与えることでも、全身にダイナミックな変化が起きることがあります。私自身、チネイザンの施術などでは、ごく軽いタッチの有効性を実感することが多いです。
ヒーリングやセラピーに対する見方は年々シンプルでソフトな方向に変わっています。
グイグイと押したり揉んだりするのではなく、身体のオートメーションを信頼することが重要だと思うようになってきました。

力と戦ってはならない、力を使いこなすのだ

人間も物理法則に従って生きているので、当たり前の話ではありますが。。。
運動の分野でも最近主流の考え方になっています。例えば、ランニングスタイルは、つま先で地面を蹴らずに、重力と足のバネを利用して走る方法へのシフトしています。ウォーキングスタイルも同じく。
靴に足の動きを制限されたまま、力まかせに地面を蹴っていても、いずれ膝や腰の痛みを抱えるようになります。
太極拳でも同じことを教えていただいています。力で戦わず、気でを身体を使いこなすのだ、と。


さて、2回にわたって私の個人的なバイブル(バックミンスター・フラーの著書)から、身体というものを改めて考えて、まとめてみました。

こう書くと少し怪しいのですが、私たちひとりひとりも宇宙の一部ですから、地球や社会を良くするには、個人の健康な身体と心が不可欠です。足の健康を通じて役に立てることが、いろいろとある気がしています。