からだコラム

締めて良いところ、悪いところ【衣類編・前半】

今回は下着や洋服で体を締めることについてです。
衣類の素材が大事なのは言うまでもありませんが、今日は「締める」(締め付ける)ことについて考えてみます。
※「衣服圧」または「被服圧」が身体におよぼす影響について、公開されているデータはごくわずかです。そのため、医学的根拠が乏しく、衛生学の専門家の論文や書籍をもとに、私の経験もふまえてまとめた見解になります。

はじめに問題です。
下の図でピンクの印部分、締めてOKなところはどこだと思いますか?

答えは「どの部分も締めてはダメ」。
と言いたいところですが、下着も洋服も常に身につけない、というわけにはいきません。
状況によって、使い分けが必要になってくるのです。
締める部位や程度で注意しなければならない点など、詳しく書いていきます。

【部位】

特に締めない方が良いのが、下の部分。

そう、胸郭と足の付け根です。多くの方が日常的に下着(ブラジャー、ショーツ)で締めてしまいがちなところです。

胸郭を圧迫するものの代表といえば、ブラジャー。胸郭は、じっとしている時でさえ、呼吸とともにかなり大きな動きを繰り返しています。また俗に言う『脇高ブラジャー』(脇肉を胸にあつめるため、サイドの高さを出したブラジャー)をつけると、脇の下にある腋窩リンパの近くまで圧迫してしまいます。ワイヤーと並んで危険な要素です。

次に足の付け根。鼠径部をショーツのゴムが圧迫すると、血流、リンパの流れが阻害され、冷えやむくみの原因になってしまいます。
鼠径という言葉は、お腹の中にあった睾丸(鼠)がお腹の膜の外に出るための道(蹊→径)を意味しているそうです。筋肉が薄く、血管やリンパ管もそこを通り道にしています。
したがって、鼠径は人体の構造上弱い部分と考えられています。
男性用下着についても、睾丸を圧迫するようなブリーフはよくないとのこと。そりゃそうですよねぇ。
その弱い部分をゴムで締める形の下着が生まれて、現在までメジャーだということがむしろ謎。。

■参考データ

胸郭への衣服圧が10,20,30mmHgと高くなるにつれ、肺活量は-10%,-20%,-30%と確実に減少する。また、胸郭部の強い締め付けは1回の換気量を低下させるため、呼吸回数が増し、換気能力低下による生体負担を増大させる。

ガードル、ストッキング、靴下などを履いた時に、四肢部にかかる衣服圧について。30?mHg以上の衣服圧が外から加わると、静脈が圧迫される。一方動脈はこの程度の圧力ではつぶれないため、いわゆるうっ血状態を作り出してしまう。うっ血による血流障害は、手足の皮膚温低下を招く。
(椅子に座った時の臀部での圧力などでは、構造的に循環は守られる。ベルト状に周囲から締める圧力=フープテンションの場合が問題である)

引用文献:田村照子, 衣服圧の功罪(日本家政学会誌より),2000

ちなみに、10mmHg(=約13.3hpa)ってどのくらいの圧力かさっぱりわかりませんよね。着圧ソックスとして有名なメディ●ュットのおやすみ用のもので、足首が21hpa、ふくらはぎが16hpaという設計です。少し参考になるでしょうか。

次にウエスト付近ですが、ここも締め方、締める程度に注意が必要です。

ウエストを締めるなら、肋骨にも腸骨にも干渉しない位置(腹部を触るとわかりますが、意外と狭いですよ)を、自分のウエストサイズをあまり変化させない範囲で締める。
このエリアに関しては、骨格は背骨のみとなるので、強く締めすぎさえしなければ、運動の妨げにはなりにくいところです。
ゴムや伸縮性のある衣服は、皮膚表面に軽くテンションをかける程度の締め具合です(締めるというよりは、押さえるに近い)。それ以上強いと、内臓を圧迫する恐れがあります。
もしくは伸縮性のないベルト状のものは、腰骨のちょうど上でずり落ちずに止まる程度の緩さであれば、それほど内臓に影響を与えることはないと思います。

最近めっきり見なくなりましたが、腰パン(腰~お尻でボトムスを履く)してしまうと、骨盤や股関節の動きを妨げます。腰痛一直線のファッションです。ボトムスはやはりウエストで履くほうが身体には良いでしょう。

下着(ショーツ)はこんな形がおすすめ。

シルクふぁみりぃの「マルベリーリラックスショーツ」!
一部丈なので鼠径部にゴムが全くあたらない、穿きこみがほぼウエスト位置(ゴムではなく腹巻素材)、素材もシルク。というパーフェクトなショーツです。
色気はありませんが、体型が崩れるよりは良いと考えましょう。

ほかに、男性用のトランクスみたいなフレアショーツ型も良いですね。
できればウエストはゴムを取って、紐で締める形にしたほうが良いです。
最近、冷えとりブームが手伝ってか、締め付けない下着で可愛いデザインのものも少しずつ増えてきました。「ふんどしショーツ」って名前は好きじゃありませんが、探すとそれっぽいものが結構あります。

後半に続きます。

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